「時間があればやるのですが」。体験にお越しになる方の多くが、そうおっしゃいます。そして次に、「短時間で効率よくお願いします」と続きます。けれど効率とは、トレーニングを短くすることではありません。むしろ削ってはいけない時間を削るから、続かず、変わらない。今日は、多忙な40代の「効率」を、時短ではなく時間配分の話として組み立て直してみます。
「短時間で効率よく」が、いちばん非効率になる
多忙な方がトレーニングに求めるのは、たいてい「短さ」です。しかし、負荷をかける時間だけを切り詰めても、体は思うようには変わりません。効率とは、やる時間を短くすることではなく、限られた時間を「どこに」配るかの問題です。まず、この一点から見直します。
40代は、20代と同じやり方が通用しなくなる時期でもあります。回復に時間がかかり、無理な追い込みは翌日の仕事に響く。だからこそ、負荷そのものより、負荷の前後にどれだけ設計を置けるかが、この年代の成否を分けます。
90分のうち、負荷をかけるのは25分だけ
AURUM の一回は90分です。意外に思われるのが、そのうち実際にトレーニング——体に負荷をかける時間——は、およそ25分だという事実です。残りの65分は、負荷をかけるためではなく、その25分を効かせ、翌日に残さないために使っています。
| 時間 | していること | 多忙な人にとっての意味 |
|---|---|---|
| 約10分 | 到着・着替え・切り替え | 仕事の頭から、体の時間へ移る |
| 約15分 | コンディションの確認 | 睡眠・疲労を読み、今日やることを決める |
| 約15分 | ウォームアップ | その日の体に合わせて入り口を整える |
| 約25分 | トレーニング(負荷) | 必要な動きだけを、正しい順番で |
| 約20分 | リカバリー & ケア | 翌日に疲れを持ち越さない状態へ |
| 約5分 | 次回の設計 | 90分を、日常の習慣へつなぐ |
この配分を見て、「トレーニングが25分でいいなら、もっと短くできるのでは」と思われるかもしれません。逆です。25分を25分として効かせられるのは、前後の65分があるから。多忙な人ほど、この65分を省いて25分だけを持ち帰り、続かなくなります。
削るなら「負荷」、増やすなら「設計」
忙しさの中で時間を捻出するとき、多くの人はまず設計を削ります。ウォームアップを飛ばし、終わればすぐ着替えて次の予定へ。けれど40代の体で削っていいのは、むしろ負荷の量のほうです。
- 01
負荷は「その日いちばん」に絞る
あれもこれもやらず、その日効かせたい一つの動きに集中します。数をこなすより、一つを丁寧に。25分でも、絞れば十分に効きます。
- 02
読む時間を、必ず先に置く
睡眠や疲労を確かめてから、その日のメニューを決めます。メニューに体を合わせるのではなく、体に合わせてメニューを選ぶ。この順番が、無駄な一回を防ぎます。
- 03
回復を、一回の中に含める
使った体をその場で整えてから帰る。トレーニングと回復をひとつづきにすることで、翌日に持ち越さず、次の一回の質も上がります。

週2回で足りるのも、同じ理屈
「週にどれくらい通えばいいか」もよく聞かれます。多くの方にとって週2回が現実的で、かつ十分です。ただしそれは、一回の90分が、負荷と設計の両方を含んでいるからこそ成り立ちます。負荷だけの30分を週4回続けるより、設計を含む90分を週2回続けるほうが、多忙な生活には無理なく噛み合います。
頻度そのものより、その頻度を続けられることのほうが、ずっと大切です。回数を増やして崩れるより、少ない回数を確実に積むほうが、40代の体には合っています。
以前は休みの日に無理して長くやって、月曜に疲れを引きずっていました。ここは負荷の時間そのものは短いのに、翌朝がむしろ軽い。続けられる理由が、やっと分かりました。
トレーニングが25分なら、家で自分でやっても同じでは?
負荷をかける25分だけなら、ご自宅でも再現できます。難しいのは、その日のコンディションを読み、必要な一つを選び、回復まで設計する前後の65分のほうです。一人では省きがちなその時間を代わりに設計することが、パーソナルの役割だと考えています。
おわりに
忙しさは、体づくりをあきらめる理由にはなりません。むしろ、限られた時間だからこそ、どこに時間を配るかが効きます。削るのは負荷の量、増やすのは設計。あなたの生活に合わせた90分の配分を、一緒に組み立てます。
Author

桐生 誠
AURUM ディレクター/フィットネスディレクター
外資系ホテルスパのフィットネスディレクターを経て、麻布十番の完全会員制パーソナルジム AURUM を主宰。多忙な人が「最小の時間で最大の変化」を得るための、質と回復を軸にした体づくりを設計している。
最後までお読みくださり、ありがとうございます。
体づくりのご相談は、体験セッションで直接お聞かせください。


